若者に向けたマーケティングを意識し、新たな顧客獲得を目指すシェーキーズ。パート1ではシェーキーズが直面していた課題と、それにどのような対策を行おうとしたのかを伺いました。

今回もシェーキーズ営業部 営業部長の水野徹さんとユニットのコンサルティングチーム「イチタスイチハタンボノ田タタ」(以下チーム田タタ)のえーちーさんにお話を伺い、今の時代のマーケティング戦略について考えていきます。

会社情報

  • 会社名:ロイヤルフードサービス株式会社
  • 事業部:シェーキーズ営業部
  • 担当者:営業部長 水野 徹様
  • 所在地:〒154-8584 東京都世田谷区桜新町1-34-6
  • 店舗数:シェーキーズ 19店舗/ロイヤルフードサービス 441店舗
  • 公式サイト:https://shakeys.jp

ロイヤルグループは1951年、戦後の国内線営業開始と同時に福岡空港で機内食搭載と喫茶営業をスタート。

「ロイヤルホスト」「天丼てんや」「シェーキーズ」「シズラー」などの外食の有名チェーンの他、「リッチモンドホテル」などのホテル事業、高速道路や空港内施設の運営を行うコントラクトサービス事業なども幅広く手がけている。

近年は家庭でレストラン品質の味を楽しめるフローズンミール「ロイヤルデリ」にも力を入れている。

SNS拡散をきっかけにして他社とのコラボが実現

――前回はクリスマスフェアを通しての施策について伺いました。他にはどのようなことをされたのかを教えてください。

えーちーさん:もともとシェーキーズには拡散力がなかったので、これを大きくする方法を考えました。最初に狙っていたのは、パワーがあるアカウントに拾い上げてもらおうということ。他力本願で便乗していきたい(笑)と、コラボなどを率先的に依頼し実施しましたね。それを続けていくうちに、シェーキーズのTikTokを見た方から「うちと一緒に何かやりませんか」というお声がけがありました。例えば、FREAK’S STOREさんからお話を頂いてコラボアパレルを販売したり、映画と連携した企画なども実施しました。当初はシェーキーズからコラボを依頼していたのですが、逆に先方からコラボの依頼を頂くことが起きてきました。これはSNSで拡散を続けて来てよかった、と思う出来事でしたね。

アメカジを追求する人気セレクトストアFREAK’S STOREとのコラボ商品。シェーキーズのロゴが大胆にあしらわれたスウェットとニットを販売し話題となっている。

インフルエンサーを活用したマーケティングでブランド認知度を高める

――2021年10月頃は、アカウントはどのような状態だったのでしょう?

水野さん:Twitterはありましたが、Instagramのアカウントはなかったんです。

えーちーさん:Instagramは本当にフォロワーがゼロから作り上げていくという作業。フォロワーを増やす施策も行いました。簡単にできるところでいうと、プレゼントキャンペーンです。まずは、アカウントを見つけてもらうこと、少しでも興味を持ってもらうことに注力しました。また前回お話した2021年12月のクリスマスフェアの頃にはすでにインフルエンサーを活用したマーケティングを行っていました。このことで、すぐにフォロワーが増えるということはなかったのですが、メンションを付けて投稿をすることを必須としたので、アカウントやブランドの認知にはつながりました。インフルエンサーの投稿からのシェーキーズアカウントへの流入も実感できました。もともと若い子たちにシェーキーズを知ってほしいという思いが大きかったので。インフルエンサーが拡散してくれることで、狙っているターゲットにお店を知ってもらうことにつながったことは間違いありません。

日常の一部を切り取ってくれる共感力の高さが重要だった

――この一連の流れを、水野さんはどのように見ていらしたのでしょう。

水野さん:新しいお客さまが来てくださるようになり、初めて来店くださったお客さまだなと感じるのは、うれしかったですね。

――多くの“知らなかった層”へのアピールに成功した後、さらなる周知に苦労したと聞きました。

えーちーさん:そうですね、やはりSNSを見てくださる側の「飽き」というものはありました。

水野さん:TikTokの効果が薄れてしまうのは感じましたね。見てくださっている方が、前に見た動画だと思うと飛ばしてしまう。やはり同じようなものを出していてはダメ。つねに新しい何かを発信しないと厳しいと思いました。また、そのときの世の中の空気感はすごく影響しますね。外に出にくい期間もあったので、そういうタイミングでは反応は出にくかったです。本当に魔法のような方法はないなと感じましたね。
えーちーさん:一方で、こんなうれしいこともありました。情報を拡散してくださったインフルエンサーが、シェーキーズで働きたいとクルーになったんです。

――それはスゴいですね!

水野さん:さらに友達のインフルエンサーも働いてくれたんですよ。
えーちーさん:そういう方たちの動画は、日常を切り取ったようなもの。既視感があり、身近に感じてもらえる存在ということで再生数が伸びましたね。

水野さん:インフルエンサーが来たから来店しました、というお客さまもいらして。やはり共感力って大事だなと感じました。美しく写真を撮る、動画を撮るというだけでなく、楽しさを表現してくれた。大切なのは、そういうことなんだよなあと思いましたね。

TikTok再生数1,500万回、それでもまだまだシェーキーズの数字は伸びる

――これらの施策は実際にどのような効果を生みだしたのでしょう。具体的な数字なども合わせ教えていただけますか。

えーちーさん:このような形で、数字は大きく伸ばせました。でも、実は、これらの数字は予想より小さいものでした。それは残念なところですね。一番最初のクリスマスからずっと右肩上がりだろうと思っていたのですが、そういう曲線を描けない時期もありました。何が足りないんだろう、何がダメなんだろうと悩みましたね。自分としては、まだまだもっと、という気持ちはありますが、これだけ多くの方に見てもらっているのだから決してダメというわけではない。今もずっとチャンスを窺っているという状況です。店舗では大変ななか、2ヵ月に1回はフェアを実施しています。どこにチャンスがあるかはわかりませんからね。

水野さん:飲食業界の一企業として、この半年間で最もリーチ数の伸ばしたという自負はあります。

――短期間にこれだけ認知度を高めたのはすごいことですね。

えーちーさん:とにかく「看板」を増やしたかったんですよね。シェーキーズの看板をいろいろなところに出したかった。例えば、このシェーキーズのロゴが入った服を誰かが着て歩いてくれれば、それがそのまま看板になるじゃないですか。それはSNSでも同じで、いろいろなところに看板を作るのがやりたかったことです。

水野さん:SNSに投稿することは、インターネット上に看板を出すことに近いと思っています。SNSではさらに拡散してくれたり、見てくれた人のアカウントに看板が残る。これらを活用し、どうやって認知度を高めるか、新しいお客さまに知ってもらうかを考えて動いています。もちろん、来店してくださったお客さまにリピートしていただくのも同じように重要。でも、これは今までの飲食店がどこもやっていることです。これまでの飲食店は、リピーターを増やすことにほとんどのリソースを費やしていて、新規のお客様に来ていただく取り組みが充分ではなかった。でも、新規のお客様を増やさないとリピーターにはなってもらえない。だから私はリピーターになっていただく以上に新規の方に来ていただくことを意識しています。つねに新規を増やし、お客さまに認知していただこうとしないとダメなんです。つねに世の中に発見してもらい、認めてもらうためには、新規を追い続ける方がいいのではないか。そんな、ひとつの実験に挑むような気持ちです。

取材時はハロウィンシーズンまっさかり。新たなお客さま獲得に向けて、つねにさまざまなプロジェクトを動かしている

自社だけではできなかったことをサポートともに店をつくっていくという新しい販売促進の形

――これからチーム田タタとしてできることはどんなことでしょうか?

えーちーさん:販促や広報のような立ち位置で一緒にやらせていただけるようでしたら、どんどんお手伝いしたいです。まだまだ、やりたいことはたくさんあります!外部であるチーム田タタをシェーキーズの仲間として受け入れてくださったことはとても大きく、だからこそここまでできたと思っています。本当にみなさまに感謝しています。

水野さん:自分たちだけではできないんですよ、こういうことは。チーム田タタやユニットがいてくれたから、チャレンジできたのであって。自分たちだけではできなかったことが実現できたし、生み出せなかったものが生み出せた。大変なことがあってもやろうと思っています。会社として今までやっていなかったこと、例えば、どうしたらお客さまに認知していただけるのかを探ることは、本当に大変ですし、お金もかかる。ただ、これをやり続けたらその先に何かがあるんじゃないかなあ。だんだんわかってきていることもあります。どういうものがお客さまの目にとまり心に響くのかも少しずつですがつかめてきています。息が続く限りはやり続けていきたいですね。

インフルエンサーマーケティングも含め、お店づくり、商品開発など総合的なサポートをさせていただいているシェーキーズ様。今後もあらゆる形で応援、ご協力をさせていただければうれしいです。

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