ストレスフリーのエンタメ焼肉をコンセプトにした「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」。最近、ものすごい勢いで店舗数を増やしており、InstagramやTikTokでも話題を呼んでいます。

こちらのお店でもインフルエンサーマーケティングをはじめ、さまざまなチャレンジを行ってきたそう。今回はご自身もインフルエンサーというマーケティング本部 本部長の金谷雅史さんに、SNSを活用したマーケティングの魅力や今後について熱く語っていただきました。

会社情報

  • 会社名:GOSSO株式会社
  • 担当者:取締役 マーケティング本部長 金谷雅史さん
  • 所在地:〒150-0042東京都渋谷区宇田川町14−13宇田川ビルディング6F
  • 店舗数:89店舗(2022/10/1現在)
  • 公式サイト:https://zero-tokiwa.com

2005年に創業。「ガーデンファーム」「肉寿司」といったブランドを展開。外食アワード2021を受賞し、今もっとも注目される外食チェーン「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」を運営する会社としても知られている。

エンタメ感あふれる店で取り入れ成功につながったインフルエンサーマーケティング

――GOSSOさんが運営されているときわ亭は、どんなお店なのでしょうか?

金谷さん:ときわ亭はもともと東北6県で展開されていたホルモン焼肉酒場の人気店でした。東北では30店舗くらいあったんですね。我々GOSSO株式会社が戦略的パートナーシップとして組んで展開することとなりまして、2019年の12月に1店舗目を出し、2022年の9月の段階では73店舗。東北で展開されていたときわ亭と、全テーブルに設置されたサワータワーからお客さまが自分で注ぐ新感覚飲み放題「0秒レモンサワー®︎」というコンテンツを組み合わせた、首都圏型の「ストレスフリーの焼肉エンターテイメント酒場」です。

――インフルエンサーマーケティングを経験されたとうかがいました。率直に感じられたことをお聞かせいただけますか。

金谷さん:そうですね、うまくいけばどんな立地でも集客をサポートできる手法になるのではないかと思いました。もちろんインフルエンサーマーケティングに合うコンテンツが自社にあるというのが前提ですが、ユーザーにお店の存在や商品、キャンペーンの存在を認知させる手段として効果が高いと判断しています。

来店までのハードルを下げる存在「ローカルに強い」インフルエンサーの重要性

――実際、どのようにインフルエンサーマーケティングを活用されたのでしょうか?

金谷さん:一番最初は、お初天神店のオープンプロモーションでした。ユニットさんには大阪のインフルエンサーをご紹介いただいたんです。それまでもインフルエンサーマーケティングをやってはいましたが、ローカルにとくに強い方だったこと、またTikTokを軸にされていたので、新たな試みだなと感じました。成果はけっこうすぐに出ましたね。オープン時のキャンペーンを紹介していただき、その期間中にお客さまが入ったことを実感しました。

ユニットが金谷さんに提案した集客(予約)に至るまでのロードマップ。この道のりを上手にたどる方法を一緒に検討することで集客につながった。お初天神店ではインフルエンサーが稼働した4日間で予約件数69件。これに加えて80件程度、予約をお断りする状況となった。TikTokリンクから食べログへのアクセスは4日間で6,162アクセスを数え、その影響力を実感

――「ローカルに強い」というワードが出てきましたが、集客効果を感じられた要因は、地元に根ざしたインフルエンサーの方だったことが大きいのでしょうか?

金谷さん:地方のファン、フォロワーが多くいるということは、そのまま見込み顧客へのアプローチになる。つまり来店までのハードルが低いということ。近くのお客さまにアピールできるんですね。また、東名阪のような大きな駅の店だったらパワーインフルエンサーで人を動かしていけると思うんですが、地方だったり二等立地、三等立地になると、より地元の人たちにどうやって訴求するかが大事だと感じています。今まではチラシとかDMとかアナログのものが多かったのですが、これをSNSに置き換えてやっていくことも考えていますね。

――これまであった広告の打ち方とは異なる方法が必要ということですね。

金谷さん:もちろん、アナログな方法が有効なエリアもあるとは思います。ただ、当店では商品開発も業態づくりも、とくにSNSを意識しています。うちのお店に来てSNSにあげてもらう。そうするとネット上にずっと価値が残っていく。そういう意味でもSNS経由で来店していただくというのは僕らにとってもプラスになると考えています。

ときわ亭では「0秒レモンサワー公認アンバサダー0番隊」というアンバサダーシステムを導入。さまざまな業種の人たちがときわ亭の楽しさを広めている。こういった新しい動きを積極的に取り入れ、店の情報を拡散している

――商品開発において普段考えていらっしゃることがありましたら教えてください。

金谷さん:商品開発やキャンペーンを考えるときに大事にしていることは2点あります。1点目はその商品やキャンペーンをすることにより、ユーザーにどのような感情が生まれるか、人に話したくなるかを設計することです。我々マーケティング本部は当然ですが、ときわ亭のマネージャー陣にも普段からSNSで情報収集をしてもらっていて、どのような商品、見え方が話題を呼んでいるのか……いわゆる「バズ」を起こしているかを研究しています。お店側がどんなに頑張って自社の商品をPRしてもモノが売れる時代ではないというのは周知の通りだと思いますが、どうしたらユーザー自身が(オンライン、オフラインいずれも)人に伝えたくなるかを考えていますね。

“肉塊”レモン牛たんは1頭のタンから2〜3食分しかとれない貴重なタン元。一番やわらかい部位で、牛肉のうまみがたっぷり。SNSにもよく画像がアップされる店の看板メニュー

金谷さん:また、流れるSNSの中でどういう商品であれば手を止めてもらえるのかを考えています。なので、ほかの焼肉店がやっていないような独自性の高いキャンペーンを毎月行っています。人にどう見えるか、どうしたらユーザーが人に伝えたくなるかということが大事。SNSで拡散してもらえると、さらに多くのフォロワーさんに伝わる。そう思ってもらえる商品、イベントはどんなものなのか。そんな出口からの逆算で商品やPRを考えています。マネージャー陣も含め会社全体がそのような気持ちで動けているのが大きいですね。

――SNSはサラッと見流してしまうもの、ある意味無機質なものになってしまう怖れもあるように感じますが、その逆を目指してらっしゃるわけですね。

ほかにはないようなキャンペーンを意識的に行う。9月には「アプリde巡るときわ亭71店舗スタンプラリー」が行われた。来店数1位はなんとレモンサワー樽がまるまる一つもらえるということで話題となった

良い商品と素敵なキャンペーンは働くスタッフたちのモチベーションにつながる

――もう一つのポイントは何でしょうか?

金谷さん:2点目は、いかにスタッフがモチベーション高く臨めるかを考えるということです。自分が働いている店舗にこんな名物商品があって、こんな面白いキャンペーンをやっていて、と仲間内で語ることができたら、接客も頑張れるし楽しくやれると思うんですよ。話題となる商品やキャンペーンを創ることが、インナーブランディングにも寄与し、キャンペーンの成功にもつながります。だから僕らも現場へ行ってヒアリングをして、リアルな声をもらいながらそれを次に反映しようとしています。キャンペーンは現場と本部をつなぐ鍵でもあるんです。やっぱり飲食は現場ありきだと思うんですね。僕自身が現場出身なので、どうやったら現場がうまく回せるかをマーケティング本部としても考えています。

インフルエンサーとしての視点がマーケティングの現場でも役立った

――金谷さんご自身が8,500人ものフォロワーを抱えるインフルエンサーだとうかがっております。

金谷さん:私なんかがインフルエンサーとはおこがましいですが、2年ほどかけてこの人数まできました。1年365日毎日投稿するというコンセプトのアカウントを回しています。そもそも、なぜ始めようと思ったのかというと、理由はシンプルでインフルエンスをする側とされる側、双方の感覚を得ることがインフルエンサーマーケティングに不可欠だと思ったからです。普段からSNSに触れる機会が増えると、いち早くトレンドをキャッチできるようになり、インフルエンサーとしての視点から施策を提案することができます。特段フォロワーを伸ばそうと努力したことはありませんが、飲食人として話題のお店や新店には積極的に訪店し、情報鮮度が高いうちに投稿するようにしています。

金谷さん:インフルエンサーとしての感覚を得ることは、インフルエンサーマーケティングにおいても重要でした。ほかのインフルエンサーとのつながりが生まれ、直接会ってお話を聞けることも勉強になっていますし、店をどういう風にしたらいいのかも見えてきます。どうくすぐったらインフルエンサーが喜ぶか、なんてことまで考えられるので非常に興味深いですね。

――インフルエンサーマーケティングの面白さはずばり、どこにあるでしょうか。

金谷さん:必勝法を見つけるのはまだ先になりそうです(笑)。数年前まではフォロワーの数がどれだけいるかということで、評価されていましたが、今はやはりエンゲージメントの時代だと思います。どれだけその人がまわりに影響を与えているかを読み取ることが大事。なので、フォロワー数は1,000でも3,000でもいいと思うんですね。ちゃんとコンセプトを持って発信しているインフルエンサーさんは価値が高いなと感じています。エリアに特化しているということもその一つと言えそうですね。人とは違う差別化が大事だなと。

――今後、インフルエンサーやSNSをどのようにマーケティングに活用していきますか?

金谷さん:近年の集客手段ではありますが、魔法のステッキのような方法はありません。掛け捨て型(フロー型)ではなく積立型(ストック)で自店舗メディアやSNSを長い時間をかけて育てていくことが、本格的な集客活動になると考えています。コントロールできないものにリソースを割くよりも、コントロールできるものに集中するほうが長期的な視点で見たときに間違いなく成長につながるはずです。SNSに残るものは、まさに掛け捨てでなく積み立て。そういうコンテンツになりうる商品を開発していけば、非常に価値が高いと思います。それを現場のスタッフと一緒に考えてやっていくことで、現場も僕らも成長していけるし、良いことづくめですよね。SNSでの取り組み自体が店舗も会社も成長できる仕組みだと思います。とにかくやってみるのが大事ですね。

「バズる店」ときわ亭が行ってきたあらゆる施策。そして、これから目指す方向性をうかがうことで、インフルエンサーマーケティングの魅力と重要性を垣間見ることができました。今後もときわ亭の商品やキャンペーンが話題となることを楽しみにしております。ユニットもさまざまな形で、そのお手伝いができればうれしいです。

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